FX業者勤務の人間が語るFX初心者のための相場分析

政府の歳出削減により、景気の二番底リスクが高まる

週明け月曜日がレーバーデイのため北米大陸が休場、動意に乏しい展開でスタートした。
そんな中、欧州時間に英国商業会議所が「政府の歳出削減により、景気の二番底リスクが高まる」ため、「BOEは2011年4-6月まで政策金利を据え置くだろう」との見方を示したことに加え、ユーロ・ポンドの大口買いが重なったため、ポンド/ドルは1.5453ドルから1.5345ドルまで下落した。

 

7日火曜は、米紙WSJの報道をきっかけに欧州の債務問題が再燃、ユーロは対ドルで1.28710付近から1.2800付近へ急落することになった。
米紙WSJが報じたところによると、欧州の主要銀行を対象に実施された健全性審査(ストレステスト)で、一部の金融機関が政府債の潜在的リスクを過小評価し申告していたということだった。
さらにユーロでは、ポルトガル国内の銀行によるECBからの借入れ額が8月に過去最高に達したことや、7月の独製造業受注が前月比-2.2%(予想:0.5%)と昨年2月以来の低水準となったことなども圧迫材料となり、ニューヨーク終値にかけて対ドルで 1.2675付近まで下落、対スイスでも過去最安値を更新して1.2812付近まで下落している。
同日にはオーストラリアで、30%の資源税導入を推進するギラード首相率いる労働党が議会で過半数議席を獲得することがほぼ確実となり、豪ドルは対ドルで0.9100付近まで軟調に推移した。

 

しかし8日水曜日には、一転市場にリスク志向の回復がみられることになる。
欧州時間にポルトガルとポーランドの国債入札に堅調な需要が集まったことや米株価の上昇もあり、ユーロは対ドルで一時1.2760付近まで上昇した。
ポンドは、8月のハリファックス住宅価格の良好な結果などをきっかけに上昇をはじめ、最終的に対ドルで1.5530付近の高値をつけている。
またカナダでは政策金利の発表があり、市場予想通り3会合連続となる0.25%の引き上げとなったが、その後の声明文で「今後は個人消費が堅調に推移し、企業投資も引き続き強いことが見込まれる」とされていたことが市場の利上げ継続期待を拡大させた。
カナダ/ドルは1.0345付近まで下落している。カナダ8月のIvey購買部協会指数が65.9と市場の事前予想(55.5)を大きく上回ったことも後押ししたようだ。

 

9日木曜日の東京時間には、国内金融当局者の間で円高に対する温度差があることを背景にドル円が83円50銭付近へトライする瞬間が見られた。
ポンドでは英7月の商品貿易収支の弱い結果を要因に下落をみせるなど、市場はリスクテイクに慎重な姿勢をみせていたが、アイルランドの短期証券(T ビル)入札が問題なく消化され、欧州株式市場が続伸となると、市場のリスク許容度は高まりはじめた。
さらにニューヨーク時間に、新規失業保険申請件数が 45.1万件と市場の事前予想(47.0万件)を下回る好結果で発表されたあとは、ユーロは対ドルで1.2755付近、豪ドルは対ドルで0.9275付近の高値をつけることとなったが、ニューヨーク終値にかけては安全資産としてのドルは買戻され、ユーロは対ドルで1.2685付近、豪ドルは対ドルで 0.9225付近まで下落している。

 

10日金曜の東京時間に国内の第2四半期GDPがほぼ予想通りで発表されたが、これについて動意は見られなかった。
しかし、中国8月の貿易収支において、輸入が前年比+35.2% (市場予想 +27.5%)と市場予想を大幅に上回っていたことは、市場のリスク選好度合いを高めることになった。
ユーロ/ドルは再び1.2745付近へ値を戻し、米10年債、30年債金利が上昇するとドル円は84円37銭付近、豪ドル/ドルも0.9267付近の高値をつけることになっている。

 

今後の相場予想

13日(月)発表予定であった、一連の中国経済指標が11日土曜に前倒しで発表された。
しかも、その結果が良好であったことから、週明けの外国為替市場は豪ドルやユーロなどのリスク資産が堅調な展開となっている。
しかしドル円では、14日投開票の民主党代表選を控えて上値が重く、慎重な相場展開になっている。

 

民主党代表選において菅首相続投の場合は、早期介入警戒感の後退でドル売りが強まる可能性が高くなるが、一方、円高に対して強硬な発言を繰り返している小沢新首相誕生の場合は、早期介入の実現性が高まるとの思惑からドル買いが先行する可能性がある。
現在予想票差は拮抗しているだけに、実際の開票結果に相場は影響を受けそうである。
今週は経済指標の発表予定も多く、市場のリスク許容度を背景に、その結果は相場に振幅を与えそうだ。

 

米国景気の低迷が長期化しそうなため、ドルは基本的に軟調に推移すると予想される。
その一方でユーロは、先週の米紙WSJの報道をきっかけに欧州の信用懸念が再燃している。
アイルランドの短期証券(Tビル)入札が問題なく消化されるなど懸念を後退させる要因もみられたが、一方で独指標は振るわない結果となっており、今週もユーロ/ドルでは方向感を探る展開となるかもしれない。

 

今週の主な米国指標は、14日(火)の8月小売売上高、7月企業在庫、15日(水)の9月NY連銀製造業景気指数、8月鉱工業生産・設備稼働率、16日(木)の8月生産者物価指数、7月対米証券投資収支、9月フィラデルフィア連銀業況指数、17日(金) の8月消費者物価指数、9月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値と予定されている。
また、15日(水)には下院歳入委員会公聴会があり、中国の為替政策への政府の対応について言及される予定。
16日には下院歳入委員会公聴会でガイトナー米財務長官証言も予定されている。
欧州圏では、13日のユーロ圏7月鉱工業生産、14日の9月ZEW景況指数、17日のドイツ8月生産者物価指数などが注目を集めるところ。

 

その他オセアニアでは、14日に7月NZ小売売上高が発表されるが、こちらの影響は限定的か。
それよりも、早期利上げの思惑が浮上している豪ドルでは、市場のリスク志向にあわせて振幅を見せそうである。
対ドルで下落の足をやや弱めつつあるポンドでは、14日に8月英消費者物価指数と16日に8月英小売売上高が発表され、市場の注目を集めている。
特に消費者物価指数の弱い数字は、ポンド売りを加速させそうである。
16日にはスイス中銀の金融政策・政策金利が発表されるが、今回も現状維持となることが確実視されており、相場への影響は限られたものになるだろう。

 

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